だんな様との出会い
こんな事ってあるんだろうか・・・なぜあたしは彼と出逢ったのだろうか。
同じ掲示板にカキコして、彼から直にメールが届いた。それが始まりだった。
見知らぬ人からのメールは初めてで驚いたものの、始めはお礼のつもりで書いたのだった。
そしてまた返事がきて、また返事をして、あっという間に盛り上がり楽しくて楽しくて、
気がついたら惚れていた。
会った事のない人にこんな感情を抱いていいのだろうか、そんな不安が押し寄せた。
彼はあたしの事をどう思ってるんだろうか、確かめたくなった。
あたしの告白は今考えても紅潮する程だった。《あなたに抱かれたいと思ってる》
・・・今これを書きながらドキドキしてしまうあたしって一体・・・。
彼もたった一度だけ《会った事はないけど好き》そう言ってくれた。


メールを1000通弱交わした3ヶ月目に初オフをした。
どうしても自分の気持ちを確認したかったし、会わずにはいられなかった。
彼があたしの事をどう思ってるか・・・もちろん気になったけど、
それはどちらでも良かったような気がする。イヤイヤ、どうでもいいことはない。
このままズルズルこの気持ちを抱えてとメールをするのが耐えられなかったのだ。
遠距離だった為、勢いのついたあたしが彼のところへ向かった。


初めて会った彼は、不思議とあたしの中に溶け込んだ。
初めて会ったのに全然違和感なく、声も受話器から聞こえてきた声と一緒で、
話も通じるし、それが逆に不思議だった。
メールや電話での彼と寸分違わず「彼」だった。
このご時世無謀だと言われるかもしれないが、すぐにあたしたちは一つになった。
それは彼もあたしも願っていた事だったから。
オフの前には既に「付き合っている」状態ではあったけど、第二章が始まったのである。
それからはメールを中心に、電話はたま〜に。
料金がかかるので倹約して1回でも多く会った方がいいとの考えで。
それでも今まで5回しか会ってない。その時によって一泊・二泊・一週間、様々だったけど。
メールではなかなか気持ちが通じなくて喧嘩も何度もした時期があった。
その後はまったくと言っていいほど喧嘩にならなくなった。
なぜだろう、彼が大人なのかもしれない。
内容的には殆ど毎日だから日記のようなもので、
今日はこんな事があってこう感じて・・・みたいな事ばかり。


途中で《こんな事書いて何になるんだろう?》と虚しくなりメールが書けなくなってしまった。
指が動かない。それで一週間ばかり休んだ事があった。
彼も旅行に行くとか、飲んで遅くなるとか、そんな時にはメールは来ないが、
マメに毎日くれるのである。遅くなる時には携帯にメールをくれる。
「飲んでて遅くなるから」「今から帰るから」決して帰ってくるのは
あたしのところではないけど、「気をつけてね〜」「お風呂沸いてるからね〜」と
擬似夫婦になっていた。これが結構楽しかった。
もちろんいろんな不安もあった。付き合ってるとはいえ遠い身、
いつでも会える訳じゃないし、身近に女性はいるでしょう。
「他に女ができた」いつそう言われてもいいように覚悟はしていた、
つらい事だけれども仕方のない事、すぐに諦めがつくとはいえないけど、
そう言われてしまっては身を引くしかない。
そんな事があれば知らん振りしないできちんと話して、あたしの為を思うなら
是非話して、踏ん切りがつかないから・・・そう言い続けてきた。
元来彼は正直で何でも話してくれる。もちろんあたしが知らない事もたくさんあるだろう。
それにきっと、身近な人が知らない面をあたしは知ってる筈、それが自信に繋がった。
時間を重ねていけば今以上に彼を自然に知る事ができるのだからそれで良しとしよう、
そう思っている。
初オフを終えて、家で洗濯物をベランダに干している時
《あたし彼と結婚する、子供が小学校に入る前に!》そう、ふと感じてしまった。
その後はやはりそう都合よくはいかず、だった。彼には2人の子があり、
「絶対懐かない、そうしたら全員が苦労する、それなら初めからその道は選ばない方がいい、
俺は誰とも結婚はしないだろう」との考えの持ち主だった。
あたしは彼のことが好きで好きで、「そんな事初めから決め付けないで」との思いが一杯だった。
彼の言う事は解らなくもない、が、一緒になりたくて仕方ない気持ちは
それでも褪せず、諦めながらも希望は捨てずに(?)頑張ってきた。
力の限り彼を愛してきた。
結婚できないなら、彼の子が欲しい、そう思っていた。
彼の代わり、ではなく彼に愛された証拠として欲しかったのかもしれない、
でも彼はキッチリ避妊をしてくれた。



それから約1年、正月に彼は子供を連れて遊びに来た。おかしいなとは思ったものの、
まあ観光に来たのだろうと思うようにした。彼の子供達はとても可愛い子で
あたしを慕ってくれ、うちの子とも仲良く遊んでくれた。
そんな子供達とあたしの姿を彼は物言わず観察していたようだ。
来てから4日目、「子供達もお前が良いと言っている、結婚しよう」と。


は?今なんと?


その後は号泣号泣で大変だった。反面これは夢?誰かほっぺをつねって?って感じだった。
彼にとっては前々から考えていた事らしく、でもあたしにとっては
突然空から降ってきたキャンディのようで信じがたい事だった。
堂々と彼の横に立つことはない、そう思って泣いた事が何度もあった。
今思えば、それもこの結末に通じる道筋だったのだ。